プロフィール
- 研究内容
有島武郎、宮澤賢治、横光利一、太宰治ほかのテクスト様式論、虚構理論を中心とする文芸理論、映像表現を含む日本文化と外国文化との比較研究。
- 研究分野
- 日本近代文学、比較文学、表象文化論
- キーワード
- 小説、詩、評論、映画
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/表現文化論分野/映像・現代文化論研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/表現文化論講座/映像・現代文化論研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/言語・文学コース/映像・現代文化論研究室
- 連絡先
★留学希望者は直接教員にメールを送信せず「国際交流室」を通してお問い合わせください
★直接メールを送られても教員からの返信はありません。研究室: 314
Email: miharu*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
「わけのわからなさ」の魅力を究める
宮澤賢治という名の深く豊かな森
宮澤賢治の草稿(原稿)を見ると書き変え・書き直しが実に多く、推敲の跡を発見できます。小説や詩は作者の主張を明確に読者に伝えるものと思われがちですが、賢治の場合はそうではありません。作品の中に分裂や対立があり、読者にさまざまなことを考えさせます。「なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです」と、賢治自身、童話集『注文の多い料理店』の「序」で語っていました。宮澤賢治研究とは果てのない森に分け入るようなもの。『風の又三郎』や『ビヂテリアン大祭』が持つ「わけのわからなさ」こそが彼の文芸の深さ、豊かさなのです。
他にも現代文学からは村上春樹や、日本文学を原作とする1950年代の映画なども題材にしながら、「肯定と否定」「可能性と不可能性」が共存する作家や表現に着目していきます。
文学研究の芽を健やかに伸ばす
プレゼンテーションも大切な技術
文学研究の発想やオリジナリティーはみなさんの内にあるものです。私の役目はその萌芽を伸ばし、世に出すためのガイドを務めること。資料の収集方法や論文の書き方、パソコンを使ったプレゼンテーションなど自分の考えを他者に効果的に伝えるための技術指導を重視しています。
日本文学や日本文化は今世界から注目を集めています。中国や韓国などアジアの視点で日本文学を見直してみることも、いい刺激になると思います。北の大地にこもらずに国内外に通じる広い視野を育んでほしいですね。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
個性を眠らせていませんか?
宮澤賢治や太宰治、村上春樹や笙野頼子の作品を読んで、これは何だろう?と驚きを感じることはありませんか? 『風の谷のナウシカ』や『新世紀エヴァンゲリオン』を見て、強烈な共感や反発を抱いたことはないでしょうか? その「驚き」「共感」「反発」には、あなたの個性のあり方が投影されているのです。
文学や映像、表象文化は、伝統を受け継ぐとともに、めまぐるしく変転しています。日本の近代・現代文学や日本映画、それらの日本文化と海外との交流や比較など、あなたが作家・作品に触れる際に、必ずや何らか独自な意見や批評を持ったはずです。次は、それをきちんとした言葉にし、効率よく表現することです。
私は文学・映像の分析や理論を専門にしていますが、学生のユニークな個性を発見し、それを表現させること、特に、形にならない考えを理論化し、論文を作成していく指導方法に自信を持っています。また、PCを利用して、それを効果的に成形したり、アピール度を高める工夫も得意としています。現代はプレゼンテーションの時代です。ぜひ、あなたの個性を鮮明に表現してください。そしてそれを、世界に向けて発信してみましょう!
意欲ある進学希望の方をお待ちしています。
研究活動
略歴
1958年、岩手県出身。東北大学大学院文学研究科博士課程中退、東北大学助手、山形大学教授などを経て、2008年10月、本研究科教授として着任。2007年9月、花巻市より第17回宮澤賢治賞奨励賞を受賞。
博士(文学)。
主要業績
- 『物語主義 太宰治・森敦・村上春樹』(七月社)
- 『ひらがなの天使 谷川俊太郎の現代詩』(七月社)
- 『〈原作〉の記号学』(七月社)
- 『映画と文学 交響する想像力』(森話社)
- 『フィクションの機構2』(ひつじ書房)
- 『物語の論理学 近代文芸論集』(翰林書房)
- 『〈変異する〉日本現代小説』(ひつじ書房)
- 『花のフラクタル 20世紀日本前衛小説研究』(翰林書房)
- 『新編 言葉の意志 有島武郎と芸術史的転回』 (ひつじ書房)
- 『係争中の主体 漱石・太宰・賢治』(翰林書房)
- 『修辞的モダニズム テクスト様式論の試み』(ひつじ書房)
- 『フィクションの機構』 (ひつじ書房)
所属学会
- 日本近代文学会
- 日本文学協会
- 日本比較文学会
- 日本文芸研究会
- 昭和文学会
- 有島武郎研究会
- 横光利一文学会
教育活動
授業担当(文学部)
- 国文学史概説
- 国文学演習
授業担当(文学院)
- 日本現代文化論特殊講義
- 日本現代文化論特別演習
- 教養深化特別演習(基礎): 古典を読む
授業担当(全学教育)
- 芸術と文学
- 英語演習
おすすめの本
- 『都市空間のなかの文学』前田愛(ちくま学芸文庫)
都市論・身体論・空間論のほか、1980年代までのあらゆる現代思想を総動員して、日本近代文学を根底から再考した、20世紀を代表する研究書です。