近藤 智彦

プロフィール

近藤 智彦 准教授 / KONDO Tomohiko
研究内容

西洋古代哲学、特にヘレニズム・ローマ哲学を中心に研究しているが、近年は西洋古典受容の共同研究にも取り組んでいる。今後はこれらの研究を軸に、西洋思想史の再構築や倫理学理論の再編成の試みに参与したいと考えている。

研究分野
古代ギリシア・ローマ哲学、倫理学
キーワード
幸福、徳、自由、正義、性/愛
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/哲学宗教学分野/哲学倫理学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/哲学宗教学講座/哲学倫理学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/哲学・文化学コース/哲学倫理学研究室
連絡先

研究室: 611
Email: kondo*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

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Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
哲学倫理学研究室近藤 智彦 准教授

「白熱」議論のヘレニズム哲学
古典解釈から己の限界を広げる

古代ギリシア哲学が成熟を迎えたヘレニズム時代には、ストア派に代表される様々な学派がしのぎを削り、白熱した議論が展開されました。幸福をもたらすのは徳か快楽か、真の自由、真の正義とは何か、性/愛のあるべき(ありうる)形とは—-古代の哲学者たちによるこうした様々な問いかけに、文献解釈を通して迫りながら、現代的な観点からの捉え直しを試みています。

今も昔も思想が時代の影響を免れることは困難ですが、その中でも自分がとらわれている物の見方に固執せず、他の考え方の可能性を見出すために、われわれは古典をひもときます。このようにして「自分の限界を広げる」試みに、思想史という学問の、そして思想史研究を通した哲学・倫理学へのアプローチの、比しがたい魅力を感じています。

プラトン『国家』の諸近代語訳や注釈。こうした先行研究を導きとして、ときには批判しながら、あるべき解釈を模索していく。
古代ギリシア・ローマの哲学・思想に深く関わってきたデルフォイの神域。今も訪れる人に古代の息吹を感じさせてくれる。

基礎を作る確固たる方法論と
自分色を出すチャレンジ精神

研究に必要な姿勢の一つ目は、確固たる方法論を身につけることです。単なる「自分なりの読み」を振りかざすのではなく、まずは研究者が到達すべき「学問的な読み」の水準にまでたどりつく。そのための基本的な知識の習得をおろそかにしない姿勢が大切です。そして二つ目は、そこから先に進むために「まだ他の誰も気づいていない面白さ」を探すチャレンジ精神を持つこと。この二段構えで自分ならではの研究を進めていってほしいと思います。北海道大学の哲学・倫理学研究室は、私が専門とする古典の文献研究から現代社会の諸問題に切り込む応用倫理学まで、両極を揃えた幅広さが魅力です。これもまた「他の考え方の可能性を見出す」哲学・倫理学を学ぶにふさわしい環境なのではないでしょうか。

(聞き手・構成 佐藤優子)

研究活動

略歴

1976年生まれ。1999年東京大学文学部(西洋古典学専修課程)卒業、2008年東京大学大学院人文社会系研究科(哲学専門分野)博士課程修了、博士(文学)。秋田大学教育文化学部講師を経て、2011年4月より現職。

主要業績

  • 「ヘレニズム哲学」神崎繁・熊野純彦・鈴木泉編『西洋哲学史II——「知」の変貌・「信」の階梯』講談社選書メチエ、2011年
  • 「古代ギリシア・ローマの哲学における愛と結婚——プラトンからムソニウス・ルフスへ」藤田尚志・宮野真生子編『愛——結婚は愛のあかし?(愛・性・家族の哲学 第1巻)』ナカニシヤ出版、2016年
  • ‘Plato against Plato? Carneades’ anti-Stoic strategy’, Y. Z. Liebersohn, I. Ludlam & A. Edelheit (eds.), For a Skeptical Peripatetic: Festschrift in Honour of John Glucker (Studies in Ancient Moral and Political Philosophy, vol. 3), Academia Verlag, 2017.
  • 「運と幸福――古代と現代の交錯」『社会と倫理』(南山大学社会倫理研究所編)32、2017年
  • ‘Stoic happiness as self-activity’, in A. Altobrando, T. Niikawa & R. Stone (eds.), The Realizations of the Self, Palgrave Macmillan, 2018.
  • 「〈受容〉する女性――プルタルコスの女性論・結婚論の哲学的背景」小池登・佐藤昇・木原志乃編『『英雄伝』の挑戦――新たなプルタルコス像に迫る』京都大学学術出版会、2019年
  • 「ローマに入った哲学」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編『世界哲学史2──古代II 世界哲学の成立と展開』ちくま新書、2020年
  • (翻訳)「アリストテレス諸伝(ディオゲネス・ラエルティオス、ヘシュキオス、サン・マルコ図書館所蔵写本)」内山勝利・神崎繁・中畑正志編『アリストテレス全集1』岩波書店、2013年

所属学会

  • 日本倫理学会
  • 日本哲学会
  • 日本西洋古典学会
  • The International Plato Society
  • ギリシャ哲学セミナー
  • 新プラトン主義協会
  • 古典文献学研究会(フィロロギカ)
  • 古代哲学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 西洋哲学史概説
  • 哲学演習

授業担当(文学院)

  • 古代中世哲学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 思索と言語

おすすめの本

真の古典とはおそらく、世界と生をめぐる根源的な謎にすぐれた仕方で迫りつつ、それ自体がさらなる謎を投げかけるような作品のこと。例えばプラトン『国家』は、人間と社会のあるべき形をめぐる、そのような古典と言えます。