後藤 康文

プロフィール

後藤 康文 教授 / GOTO Yasufumi
研究内容

『伊勢物語』『堤中納言物語』等の注釈的研究。

研究分野
平安時代物語文学
キーワード
平安時代物語文学の研究
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/表現文化論分野/日本古典文化論研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/表現文化論講座/日本古典文化論研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/言語・文学コース/日本古典文化論研究室
連絡先

研究室: 407
TEL: 011-706-4015
FAX: 011-706-4015
Email: yasusan*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

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Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
日本古典文化論研究室後藤 康文 教授

傍証から帰納的に結論を導く
壊された本文の「復元」作業

『伊勢物語』や『狭衣物語』に代表される平安文学の作者がそれぞれの作品で何を書こうとしていたのか。タイムカプセルでもない限り当の作者による答え合わせは望めない話ですが、既存の写本や注釈資料を読み進めていくうちにどうしても見過ごせない誤写や誤読に出合ったところから、現在私が打ち込んでいる「復元」研究が始まりました。現代人である我々を基準に考えるのではなく、物語が書かれた当時の語義、語法などさまざまな要素を帰納的に解釈していくと、「これだ」という一点が見えてくる。医者の見立てさながらに、欠陥を指摘し本来の姿に修復する「復元」の面白さに魅せられています。

数多くの院生が研究テーマとしてきた『源氏物語』。後藤教授の次のテーマは『竹取物語』。長年"未詳"とされた箇所に迫る。
平安後期に成立した『浜松中納言物語』。「原本を書写し後世に伝える過程でさまざまな誤写や誤読が生まれます」と後藤教授。

レールは敷かない放任主義
本物との対話が財産に

私自身が学生時代にそうして育てられたように、院生指導の基本は”放任主義”。「この作品をこういう切り口で解釈し、この材料を集めて何月までに組み立てなさい」という手取り足取りの指導では、その学生が研究職を歩まんとした意味がありません。自分のアイデアで構築した論文を発表し、評価されてはじめて達成感を得られるというもの。書いてきたものにはもちろん責任をもって指導しますし、あとは学会のときに第一線で活躍されている”本物”の先生方と学生を引き合わせるお膳立てをするくらい。”本物”と話した経験はどの文献資料にもない自分だけの財産となります。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

平安文学をわれわれは通常活字本(注釈書類)によって享受していますが、それらには例外なく、とんでもない誤りが数多く含まれているのです。というのも、「平安文学」とはいっても原本はとっくの昔に失われ、江戸時代以降の写本しか現存していない作品や、今日残された伝本がただひとつしかないものも多いために、当然のことながら、年月を経たための誤写や欠陥を多数抱えているのが実情だからです。そもそもベースに誤りがあるわけですから、それにそのまま従った読解が正しい道理はないというわけです。私のもっぱらの興味は、そのような損傷を受けた本文の「復元」作業にあります。たった一文字の間違いを訂正してやるだけで、従来の作品理解をコペルニクス的に変えることもあって、その痛快感は、一度味わうとやみつきになってしまいます。

研究活動

略歴

下関西高等学校卒、九州大学文学部卒、同大学院文学研究科修了、博士(文学)。九州大学文学部助手、宮崎大学教育学部助教授を経て現職。

主要業績

所属学会

  • 中古文学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 国文学
  • 国文学演習
  • 国語文献学

授業担当(文学院)

  • 日本古典文化論特別演習
  • 文献学(国語・国文)特別演習

授業担当(全学教育)

  • 芸術と文学
  • 一般教育演習(フレッシュマンズ・セミナー)

おすすめの本

  • ゴールズワージー『林檎の木』(新潮文庫等)
    私も銀婚式を無事迎えたあかつきには、若い頃の切ない恋をこんなふうに回想してみましょうか。