平澤 和司

プロフィール

平澤 和司 教授 / HIRASAWA Kazushi
研究内容

①高等教育を受ける機会の不平等、②学歴による社会経済的地位の格差、それらを明らかにする③社会調査の方法について研究しています。①②は長らく社会的不平等の研究テーマとなってきましたが、分かっていないことも多くやりがいのある領域です。

研究分野
社会学(特に教育、家族、社会階層)
キーワード
学歴社会、社会階層・階級、就職、きょうだい数、社会調査
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/社会学分野/社会学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/社会学講座/社会学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/社会学研究室
連絡先

Email: hirasawa*cme.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

<研究生について>2024年4月以降、私を指導教員とする研究生を受け入れる予定はありません。
<修士課程入学について>修士課程への入学や試験に関して私へメールを送られても、原則として返信しません。また入学試験の公平性を保つため、研究計画書の添削などは行いません。入学を希望をされる方には、社会学の基礎的な知識の習得を期待しています。

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
社会学研究室平澤 和司 教授

計量的な方法を用いて分析する
社会的不平等の実態と変化

きょうだい数が多い家庭の出身者は大学進学率が低い傾向にあります。これは洋の東西を問わず観察されますが、なぜか。きょうだいのなかで出生順位が早いほうと遅いほうのどちらが進学しやすいか。さらに大卒者の社会経済的地位は、その増加に伴って高まったのか、それともインフレがおきて低下しているのか。

全国から無作為抽出された方々の回答からなる調査データを分析すると、こうした問いに対する答えが見えてきます。いまのところ対象者の自宅を訪問するか調査票を郵送する方法が主流ですが、これをインターネットによるウェブ調査に置き換える可能性を追求しています。

社会的不平等や社会調査法の編著書
あるウェブ調査の回答画面

多様な視点から社会を見据えて
根拠を持って自分なりの意見を

データは多くのことを教えてくれますが、それで充分というわけではありません。格差はどの程度なら許容されるのか、大学は全国にいくつあるのが適正なのか。社会には価値判断を含み答えがひとつに定まらない問いが多くあるからです。

しかし、だからこそ冷静に議論できるよう、誰もがそれぞれの問いに関して、多様な視点から熟考することが求められます。大学はその訓練の場です。一見もっともらしい「改革案」に陥穽はないか、ともに考えてみましょう。

メッセージ

近年「格差社会」ということばをよく耳にしますが、そもそも「格差」とはなんでしょうか。またなぜ「格差」が生じるのでしょうか。あるいは「昔の日本は平等だった」が「いまは格差社会だ」というのは本当でしょうか。こうした問いに対して、(1)既存研究をヒントに仮説を立て、(2)社会調査によって得られたデータに基づき、(3)おもに計量的な方法によって仮説を検証する、というスタイルで私は研究しています。社会現象は複雑だからこそ、あえて単純化して、見通しをよくすることが肝要だと思います。

「格差社会」に限らず社会について研究するには、a.いろいろな社会現象に自分なりの視角から興味をもち、b.それを分析する方法論を体得し、c.結果を他者に興味を持ってもらえるように表現することが重要です。こうした経験は、良質な情報を収集して、分析して、意志決定(価値判断)を下す、という企業活動の本質と通底しています。社会現象ではよくわかっていないことが多数あるので、疑り深い人、議論好きな人、数字の好きな人、などなどいっしょに勉強する人を募っています。

取得可能な資格としては、学部卒業段階で社会調査士、修士修了段階で専門社会調査士があります。くわしくはhttps://jasr.or.jp/を参照してください。

研究活動

略歴

北海道大学文学部を卒業後、同大大学院を経て、2003年北海道大学大学院文学 研究科助教授に着任。同研究科准教授を経て、現職。

主要業績

  • 世帯所得や親の学歴が子どもの学歴に与える影響に関して,2013年ESSM調査 データを用いた論文:平沢和司(2018)「世帯所得・親学歴と子どもの大学進 学」,中村高康・平沢和司・荒牧草平・中澤渉編『教育と社会階層-ESSM全国調 査からみた学歴・学校・格差』東京大学出版会,107-128頁.
  • 地方国立大学の意義に関して,2015年SSM調査データを用いた論文:平沢和司 (2021)「地方国立大学卒業生の出身と到達」,有田伸・数土直紀・白波瀬佐和 子編『人生後期の階層構造』東京大学出版会,154-160頁.
  • 「格差社会」に関して非正規雇用・貧困・社会階層などの視点から考えるテキ スト: 平沢和司(2021)『格差の社会学入門[第2版]−学歴と階層から考える』北 海道大学出版会.2014年に刊行した同書の改訂版.
  • 大学生の就職活動とその結果に関する論文: 平沢和司(2010)「大卒就職機会 に関する諸仮説の検討」,苅谷剛彦・本田由紀編『大卒就職の社会学-データか らみる変化』東京大学出版会,61-85頁.
  • きょうだい数と出生順位が学歴に与える影響に関して,2008年NFRJ調査データ を用いた論文: 荒牧草平・平沢和司(2016)「教育達成に対する家族構造の効果 −「世代間伝達」と「世代内配分」に着目して」,稲葉昭英・保田時男・田渕六 郎・田中重人編『日本の家族 1999-2009: 全国家族調査[NFRJ]による計量社会 学』東京大学出版会,93-112頁.
  • 社会調査法に関するテキスト: 轟亮・杉野勇・平沢和司編(2021)『入門・社 会調査法第4版』法律文化社.第4章「社会調査のデザイン」,第14章「社会調査 の意義と今日的課題」などを分担執筆.2010年に刊行した同書の改訂第4版.調査倫理について大幅加筆.
  • 無作為抽出ウェブ調査に関する論文集:杉野勇・平沢和司編(2024)『無作為抽出ウェブ調査の挑戦』法律文化社.序章「無作為抽出ウェブ調査の試み」,第1章「無作為ミックスモード調査の可能性」を分担執筆.

所属学会

  • 日本社会学会
  • 日本教育社会学会
  • 日本家族社会学会
  • など

教育活動

授業担当(文学部)

  • 社会学概論
  • 社会構造論
  • 社会学演習
  • 社会調査法実習
  • 社会学特殊演習

授業担当(文学院)

  • 社会調査法特別演習
  • 社会学理論特別演習
  • 社会構造論特別演習

授業担当(全学教育)

  • 社会の認識

おすすめの本

  • 作田啓一(1981)『個人主義の運命』岩波新書。