研究と社会貢献教員一覧

阿部 嘉昭

阿部 嘉昭 准教授 / ABE Casio

所属専攻・所属講座
言語文学専攻 映像・表現文化論講座
研究分野
映画・サブカルチャー研究、詩歌論
研究内容
日本映画における俳優身体、話法、映画技法の研究。マンガ、音楽(ロック/Jポップ)、アニメ、写真などの構造分析。詩、短歌俳句を中心にした文学研究、創作論。メディア論。
WEB site
キーワード
身体論、ジャンル論、ナラトロジー、メトニミー、メランコリー
連絡先
研究室: 502
TEL: 011-706-3014
FAX: 011-706-3014
E-mail: casio*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

Lab.Letters 研究室からのメッセージ

作品特有の構造に分け入り
畏怖の念を持って肯定する

 映画や音楽、マンガ、サブカルチャーなどのアートを「好き嫌い」で論じる消費的な行為は容易ですが、作品評論の域にまで深めていくには仔細な把握が必要です。「作者はどうしてこういう風に表現したのか」音楽ならば歌詞やコードを、マンガならばコマ割りをと、その作品特有の物質的構造に分け入ることができたときはじめてその作品を真に対象化できたという官能にも近い喜びが待っています。
 皮肉なことにたとえば声の描写などをしてゆくと「どれだけ言葉が追いつけるか」という問題が生じます。作品に対し言葉が無効になる瞬間が訪れる。そうした畏怖の念をもちながら、しかも作品を肯定していくことが、日本の表現の文化状況全体を高めることにつながるとおもっています。

  • これまでに手がけた評論は映画、音楽、コミック、サブカルチャー、お笑いなどの脱領域。自身の詩集も出版している。
  • 詩や書評が投稿されている「ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ」。阿部先生の世界観を知ることができる。

文学的なものがもたらす幸せ
詩的な直感力が研究に独自性を

 実学一辺倒の社会では軽視されがちな<文学的なもの>は、円滑なコミュニケーションに貢献したりとさまざまな幸せをもたらします。そのなかのひとつに作品を評論するだけにとどまらず、自らが実作者となることも含まれています。ぼく自身、過去に指導していた学生たちとメールを交わす中で詩作を再開させた経緯があり、学術研究においても詩的な直感力が従来の路線にない独自性を増すとかんがえています。
 ぼくの指導は話し言葉主体のライブに近く、事前に用意した草稿にのっとって、という形式とは正反対。ですが、こちらの速射的な思考や引用する膨大な固有名詞が浮遊する空間の中から、みなさんが自力で自分にとっての指針や思考方法を見つけてくれたらと期待しています。
(聞き手・構成 佐藤優子)

<メッセージ>
 ネット環境のなかのフリーダウンロード、書籍の「内職」等によって、現在、「作品」をめぐる環境が液状化、「作品」への崇敬が失われ、「商品」だけが横行しているといってもよい状況になってきました。もちろん社会学と異なり、文学的想像力は「作品」に肉薄し、それを分析することで思考の指針をつくりあげてきたのですから、この現況を思考の危機とも捉えることができます。とりわけ現在的な文学研究者は、自分の周囲にある映画、サブカルチャーなどの表現環境を、「作品の擁護」という観点から再価値化しなければならない。このためにこそ、作品を作品たらしめている「構造」を分析する必要があるのです。映画、音楽、マンガなど、発表されてさほど時間が経過していない作品が刻々忘却にさらされるなかで、ジャンル/メディア横断的に検討すべき作品の目録をつくり、その独自の内実や共通主題を批評的に伝達してゆく――このための実践の場をともにつくりたいとおもっています。そこで喚起されなければならないのが、とおい対象同士を結び、対象を通念から離れて独自化する「詩性」「詩精神」でしょう。本研究室では、サブカルチャー分析が詩性の発現と相即できるような、自由な場の形成を目指します。なにかに独自のつよい興味があると自認している意欲的な学生なら大歓迎です。

研究活動

略歴
1958年東京生まれ。82年、慶應義塾大学法学部法律学科卒。出版社等の勤務を経て94年よりフリーの評論家として活動(映画/サブカル)。2007年、立教大学文学部特任教授、傍らで詩作活動を開始。2012年より現職。
主要業績
●2018年
『日に数分だけ』(響文社)
『詩の顔、詩のからだ』(思潮社)
●2017年
『橋が言う』(ミッドナイト・プレス)
●2016年
『石のくずれ』(ミッドナイト・プレス)
『詩と減喩 - 換喩詩学II』(思潮社)
●2015年
『平成ボーダー文化論』(水声社)
『束』(思潮社オンデマンド)
●2014年
『空気断章』(思潮社オンデマンド)
『静思集』(思潮社オンデマンド)
『陰であるみどり』(思潮社オンデマンド)
『換喩詩学』(思潮社)
 →第6回鮎川信夫賞を受賞
●2013年
『映画監督 大島渚』(河出書房新社)
『ふる雪のむこう』(思潮社オンデマンド)
 →第48回北海道新聞文学賞<詩部門>を受賞
●2012年
『日本映画オルタナティヴ』(彩流社)
『みんなを、屋根に。』(思潮社オンデマンド)
●2011年以前
『北野武vsビートたけし』単著(筑摩書房)
『日本映画が存在する』単著(青土社)
『精解サブカルチャー講義』単著(河出書房新社)
『成瀬巳喜男』単著(河出書房新社)
『マンガは動く』単著(泉書房)
関連サイト
阿部嘉昭ファンサイト
ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ
北大研究者総覧
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教育活動

担当授業(大学院)
映像・図像表現文化論特殊講義、映像・図像表現文化論特殊演習
担当授業(文学部)
国文学、国文学演習
担当授業(全学教育)
芸術と文学
おすすめの本
『差異と反復』(上下、ジル・ドゥルーズ、財津理訳、河出文庫)
各論的に適用されやすい『シネマ』二部作にたいし、実は映画への原理的着眼点が宝蔵されているのが本書。
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