プロフィール
高橋 悟史 さん(株式会社ローソン 勤務)
埼玉県桶川市出身。埼玉県立浦和高等学校卒業後、2012年4月に北大文学部に入学。文学部では哲学・文化学コース、宗教学インド哲学講座*でキリスト教、仏教を中心に、世界各地の宗教について学ぶ。2017年3月に卒業。2017年4月に株式会社ローソンに入社。店舗勤務を経て、現在では店舗指導員として活躍中。
*2019年4月の改組により、宗教学インド哲学講座は、宗教学インド哲学研究室となりました。
北大文学部を選んだ理由
北大文学部を選んだ理由は2つあります。
1つ目は、北海道で一人暮らしをしたかったからです。進学前に、父がかつて北海道で一人暮らしをしていた時の経験をまとめた文章を読んでいました。自分もそのような経験をしたいと北海道行きを決意し、北大を志望しました。
2つ目は、哲学や宗教について学びたかったからです。小学生の時に図書室で読んだ、手塚治虫『火の鳥 太陽編』と里中満智子『ギリシア神話』の2作品に夢中になって以来、哲学や宗教に興味を持地続けていました。「生きるとは?」といった問いに対する答えを知りたく思い、文学部に行けばその答えが見つかるような気がしていました。
文学部ではどんな研究を
卒業論文は、18世紀のスコットランドの哲学者デヴィッド・ヒュームの、『自然宗教に関する対話』を主要テーマとしました。18世紀は、大航海時代、宗教改革、自然科学の隆盛の影響を強く受けた時代であり、そのような時代に懐疑主義者ヒュームがどのように宗教を論じているのか、また、そこで用いられている「対話篇」という著述形式にヒュームのどのような真意が隠されているのか、といったことに焦点を当てました。
北大文学部に行ってよかったですか
とても良い選択であったと思っています。
先述した自身の「生きるとは?」という問いに対して、アカデミズムの世界ではどのような領域で、どのように論じられているのか、という見取り図が見えたような気がしました。
在学中、大変だったことは
冬の寒さとゼミの外国語です。しかし、今では恋しくもあります。
卒業後から現在までの道のり
就職活動は、興味のあった映画業界の他、企業研究の中で興味を持ったいくつかの企業を受けました。ローソンは、アルバイトをきっかけに志望しました。店舗のバックルームで見かけたアルバイト学生向けの就活セミナーへ参加したことが、インターンシップや選考へと繋がりました。選考を通して、日々自分が関わっていたコンビニエンスストアが、社会で果たしている役割と、そこで働く人びとの想いを、現実味をもって実感し、とても魅力的な仕事に見えました。
2017年4月に入社後、店舗勤務を経て、現在では店舗指導員として勤務しています。
現在のお仕事の内容
加盟店のオーナーや店長と一緒に、経営指導や人財育成、お客様に支持される売場の実現を目指して店舗指導をしています。お店に来店されているお客様や店員の方々が、来店される前よりも少しでも気持ちよく帰っていただけるお手伝いを出来ていればとても嬉しいです。
大学で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか
役に立っていると思います。
卒業論文で研究した、ヒュームは懐疑主義者と呼ばれていますが、ヒュームの懐疑主義は、何も判らないのであれば考えても仕方ないというニヒリズムではなく、物事を徹底的に吟味する「批判精神」と言い換えることもできます。これは、日々の多くの局面で重要な姿勢だと思っています。
また、大学のゼミや研究では、かなり難解な文章を読むことが多く、中には何度読んでも理解できないものも多くありました。しかし、あきらめずそれらと向き合うことで、自分が理解できないものに対しての接し方、そして何より根気強さを学ぶことが出来たと思います。

今後の目標・夢
周囲にいる方々を、今よりも少しでも幸せに出来る人間になれればと思います。まだまだ未熟ですが、上司や先輩の方々に叱咤激励されながら、成長し続けられればと思います。
後輩のみなさんへのメッセージ
大学生活で、自分のやりたいことと真剣に向き合えたからこそ、今目の前にある仕事に全力で向き合える原動力を得られました。この4年間で得た蓄積は必ず人生の糧になると思います。
何より、広大な北の大地で、個性的でユーモラスな仲間たちと出会えたことは、何にも代えがたいです。
北大文学部に入学する後輩の皆さんにとって、大学生活が喜びに満ちたものになりますように!
(2021年9月取材)