多角的に考えるトレーニングはよい記事づくりのベース

プロフィール

菊池 真理子 さん(北海道新聞社 函館報道部 勤務)
青森県南津軽郡出身。青森県立弘前高等学校卒業後、北大学文学部に入学。文学部では哲学・文化学コースで倫理学講座*に進み、多文化主義について学ぶ。2017年3月に卒業。2017年4月より北海道新聞社に入社。札幌の報道センターを経て、2018年10月より、函館報道部で記者として勤務している。

*2019年4月の改組により、倫理学講座は哲学講座と統合して、哲学倫理学研究室となりました。

 

北大文学部を選んだ理由

大学入試の2次試験のうち国語と英語はどの国立大学も必須でしたが、北大文学部は、3つめの受験科目を数学か社会科で選べる数少ない国立大だったからです。日本史が好きだったので、日本史を選択しました。

大学でも日本史を学ぼうと考えていましたが、1年生のときに「戦争倫理学」という講義を受けて倫理学に興味を持ちました。「正しい戦争はあるのか」というテーマに沿って学生同士で議論を重ねるうち、「正しい戦争と考えられる戦争はほとんどないと言える」という結論に至りました。

「正しい戦争なんてある訳がない」と議論を避けるのではなく、「正しい戦争があるとすればどういう条件・形態だろう?」と視点を変えることで、「正しい戦争と考えられる戦争のハードルは非常に高い」という結論が導かれました。こうした多角的な視点を持てるようになりたいと思い、倫理学講座に進みました。

文学部ではどんな研究を

子供のころから漠然と、平等や差別、多様性といったテーマに関心がありました。3年生のときには、アメリカにおける黒人差別解消を図る施策「積極的差別是正措置(アファーマティブアクション)」についてゼミで発表しました。卒業論文は、この施策の元になっている「多文化主義(マルチカルチュラリズム)」という考え方について書きました。

北大文学部に行ってよかったですか

良かったです。倫理学・哲学では一つの主張・事象について、しばしば真っ向から意見が対立することがあります。自分と異なる意見をあらかじめ想定し、反対意見の人にも納得してもらえるような説明を心がけるようになりました。

また卒論で書いた多文化主義は、簡単に言うと人種や民族、宗教など多様な文化的背景を持つ人たちが共生できる社会を目指す考えです。現代社会の問題と結びつけながら、勉強できることも魅力の一つだと思います。

在学中、大変だったことは

哲学書の古典を読むゼミがありました。日本語にするとほんの数ページでも、ドイツ語の原典を読み進めるのに時間がかかりました。困ったときは、同じ講座の同期や先輩が教えてくれました。

卒業後→現在までの道のり

入学前から記者になりたいと考えていたので、マスコミに絞って就職活動をしました。4年生のときに北海道新聞社から内定をもらい、現在、記者として仕事をしています。

現在のお仕事の内容

子供からお年寄りまで、幅広くたくさんの人に会ってお話を伺い、記事にします。写真も自分で撮ることが多いです。高校野球や事件事故、教育や保健福祉などさまざまな分野の取材をします。毎日新たな出会いがあり、自分の知らなかったことを少しずつ知っていける仕事です。

担当した特別支援教育に関する連載記事
2017年夏、甲子園で全国高校野球選手権大会の取材をしました

大学で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

役立っています。記事で賛否が分かれるような問題を扱うときは、両方の意見を聞きます。学生時代に多角的に物事を考えるトレーニングを積めたことは、記事を書く上で役に立っていると思っています。

今後の目標・夢

人の痛みに寄り添える記事を書いていきたいです。英語力が足りないので、社会人になりましたが少しずつ勉強していきたいです。

後輩のみなさんへのメッセージ

北大文学部には個性豊かな同期、先輩、先生たちがいます。私もたくさんのすてきな出会いに恵まれました。同じ専攻の人はもちろん、1年生時のクラスのメンバーとも卒業後も付き合いが続いています。

文学部は幅広い講義が展開され、先生たちの指導も手厚いです。自分の学びたいことを自由に選び取って学んでいける環境が整っています。四季の移ろいを楽しめるキャンパスで、みなさんが充実した日々を過ごせますように。

(2019年8月取材)