戸田

プロフィール

戸田 聡 教授 / TODA Satoshi
研究内容

古代キリスト教史を、特に4世紀初頭のローマ帝国によるいわゆるキリスト教公認より前の時期について、様々な角度から研究。最近は特に、古代キリスト教文学における翻訳というテーマに取り組んでいる。

研究分野
古典文献学(特に古代ギリシア語文献学)、古代キリスト教史
キーワード
古代キリスト教、東方キリスト教、古典文献学、古代ギリシア語文献学、コプト語、シリア語
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/表現文化論分野/欧米文学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/表現文化論講座/欧米文学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/言語・文学コース/欧米文学研究室
連絡先

研究室: 409
Email: jsattoda*let.hokudai.ac.jp
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研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
欧米文学研究室戸田 聡 教授

聖書(特にその翻訳)を要とする
古代キリスト教文学史の再構成へ

キリスト教を理解するにはその古代のありようを考えることが不可欠です。古代キリスト教史に含まれる様々な問題群のうち、私は近年、新約聖書を始めとする古代のキリスト教文献がいかに伝播したか、或いは逆に言えば、今日諸言語で伝わるそれら著作が元来何語でいつ頃書かれたか、といった問題に注目しています。古代キリスト教文学史は、特に東方のギリシア語圏の場合、周辺の諸言語への翻訳という事態を内包しており、それはイスラム教(特にクルアーン)とも、また同じキリスト教圏でも西方のラテン語圏とも、顕著に異なる特徴だと言えます。諸言語への翻訳を織り込んだ古代キリスト教文学の歴史を書くことが私の研究の目標の一つです。

『トマスによる福音書』コプト語版の冒頭部分。長らく論争があった著作原語の問題についてはギリシア語原語説が今や有力だと考えられる。
4世紀初頭に登場しローマ帝国を支配した皇帝コンスタンティヌスの像。彼がキリスト教を受容したことが世界の歴史を変えた。

多くの言語の習得はむしろ強み
研究に集中できる環境がある

こういう研究をするには、英独仏等の欧米諸語だけでなくギリシア語・ラテン語の古典語や、コプト語・シリア語など東方諸語の学習が必要です。ただでさえ研究上のハードルが高いのに、と思う人もあるでしょうが、習得言語の数が多いほど、それはむしろ強みになりえます。研究の先進地域たる欧米でも、古典語に加えてその他の言語も使える研究者は実はそう多くないからです。

北大の文学研究科は多彩な分野をカバーしており、専門の近い先生方が複数いるので私自身大いに刺激を受けています。しかも北海道は家賃を始め生活費が安く、研究に集中できる環境があります! 海外で通用する研究者を目指す学生諸君を全力で応援したく思っています。

メッセージ

私自身の専門に即した上記の話に加えて、私はかねがね、キリスト教は古代に関する様々な研究の焦点となりうる、と考えています。ここで言う様々な研究とはキリスト教に関する研究に限りません。例えば古代の或る宗教を研究する場合、当の宗教だけを勉強しても、それが我々現代人に直ちに何らかの意味を持つことにはなりにくい面があります。しかし、研究の際に古代キリスト教との対比を(自ら研究せずとも)念頭に置くことで、当の研究が様々な広がりを持つようになりえます。キリスト教も古代に端を発する宗教だからです。また、例えば古代オリエントの歴史は、旧約聖書との関連・対比を(自ら研究せずとも)念頭に置くことで、俄然多くの人々の関心を呼ぶテーマとなりえます。古代への幅広い関心を受け止められる教師でありたいと願っています。

さらに、研究者になるつもりはないが古典には関心があるという学生諸君にもぜひ言いたいのですが、ギリシア・ローマの古典であれ、聖書を始めとする古代キリスト教の古典であれ、大学においてじっくり学ぶ価値のあるテーマであると私は確信しています。実利・実用性のみを重視する風潮が強い昨今では、古代のことを勉強して何の意味があるかなどと考える人が少なくありませんが、先行きの不透明な現代だからこそ、時の試練を耐え抜いてきた古典から我々が学べることは多いはずです。意欲あふれる学生諸君との出会いを期待しています。

研究活動

略歴

北九州市生まれ。東京大学経済学部卒業。政府系金融機関勤務の後、一橋大学大学院に進学し、さらにベルギーのルーヴァン・カトリック大学(在ルーヴァン・ラ・ヌーヴ)及びオランダのライデン大学に留学。2006年、ライデン大学より博士号(文学)を授与される。諸大学の非常勤講師等を経て2013年4月から現職。

主要業績

  • 戸田聡『キリスト教修道制の成立』(創文社、2008年)
  • TODA Satoshi, Vie de S. Macaire l’Egyptien. Edition et traduction des textes copte et syriaque, Piscataway, NJ: Gorgias Press, 2012
  • (訳書)J・ファン・デル・フリート著/戸田聡訳『解読 ユダの福音書』(教文館、2007年)
  • (訳書)A・H・M・ジョーンズ著/戸田聡訳『ヨーロッパの改宗 ―コンスタンティヌス《大帝》の生涯―』(教文館、2008年)
  • (訳書)P・ブラウン著/戸田聡訳『貧者を愛する者―古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生―』(慶應義塾大学出版会、2012年)
  • (訳書)ハンス・ゲオルク・ベック著/戸田聡訳『ビザンツ世界論』(知泉書館、2014年)
  • (編訳)戸田聡『砂漠に引きこもった人々』(教文館、2016年)
  • (訳書)マックス・ヴェーバー著/戸田聡訳『宗教社会学論集 第1巻・上』(北海道大学出版会、2019年)
  • 戸田聡『古代キリスト教研究論集』(北海道大学出版会、2021年)
  • 戸田聡『古代末期・東方キリスト教論集』(新教出版社、2022年)

所属学会

  • キリスト教史学会
  • 日本西洋古典学会
  • 東方キリスト教学会
  • 日本基督教学会
  • International Association for Patristic Studies
  • International Association for Coptic Studies

教育活動

授業担当(文学部)

  • 西洋古典学
  • 西洋古典学演習

授業担当(文学院)

  • 西洋文学特殊講義
  • 西洋文学特別演習
  • 言語文化論特別演習

授業担当(全学教育)

  • 一般教育演習(フレッシュマンセミナー)

おすすめの本

  • 北海道大学附属図書館Webサイトの「不朽の名著」のコーナーに推薦図書を挙げたので参照してください。
    戸田聡 先生 ご推薦の図書
  • 北海道大学附属図書館Webサイトの「本は脳を育てる」(北大教員による新入生への推薦図書)コーナー
    戸田聡 先生 ご推薦の図書