大沼

プロフィール

大沼 進 教授 / OHNUMA Susumu
研究内容

環境問題の協力行動促進や合意形成・公共的意思決定のプロセスデザイン。

研究分野
環境社会心理学、リスクガバナンス
キーワード
社会的ジレンマ、手続き的公正、信頼、リスクガバナンス、環境配慮行動
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/行動科学分野/行動科学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/行動科学講座/行動科学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/行動科学研究室
連絡先

研究室: E棟403
TEL: 011-706-4158
FAX: 011-706-4158
Email: ohnuma*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
行動科学研究室大沼 進 教授

ごみ処理から目指す社会像とは?
合意形成に至るプロセスを重視

私の現在の研究キーワードは「大規模社会における協力の実現」です。ごみ有料化を例に挙げると、「有料が是か非か」だけを問うのではなく、ごみ処理を通じて目指す理想の社会像や問題意識を市民が共有できているかを考える。広報の方法やディスカッションの場づくりなど、さまざまな個人で構成される集団が「合意形成」に至るまでのプロセスを重要視しています。

研究の手法は実際にごみステーションに足を運んだりする現地調査と、大人数でのロールプレイングゲームを教室に再現する実証実験の二本立て。双方向からアプローチする社会心理学ならではの面白さがあります。

札幌市第2次環境基本計画策定時の市民参加ワークショップ風景。
合意形成を巡るゲーミング:役割になりきって交渉する。

国際色豊かな研究者たちの
クロスロードで大きく成長

一つとして同じものがない社会の現場にはそれぞれのセオリーがあります。これまでの研究を通じて”いいセオリーはどの現場にも通じる”ことがわかり、どの現場にも耐えられるセオリーこそが本物であると確信しています。もちろん何が本物かはそう簡単には見えてこない。”わからないを楽しむ”好奇心で日々現場と向き合っています。

行動科学講座は、若手からベテランまで国際色豊かな研究者たちが文系/理系の壁を乗り越えて行き交う学際研究のクロスロード。互いに忌憚のない意見交換で刺激しあう伝統が息づいています。アンビシャスな研究者には幸せな環境であり、”世界に通じる人材育成”を有言実行しています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

人間は放っておくと利己的になる存在です。しかし、適切な状況設定があれば、協力できるし、建設的な議論もできるようになります。炎上、フェイク、非寛容、誹謗中傷、差別などの問題を抱える今日こそ、どうすれば他者と共感しあい、異質な価値を認めあい、対立を乗り越えられるのか、一人一人が正面から向き合い、議論し続けてほしいと願っています。

ただし、精神論による道徳的なお説教をしたいわけではありません。理念を振りかざすだけの虚構を主張するつもりもありません。社会心理学は実証の学問です。

私たちのチームでは、合意形成に向けたプロセスデザインの研究をしています。社会全体にとって望ましい姿は一様ではありません。多様な価値がぶつかるときにどうすれば折り合いをつけられるのでしょうか。多くの人にはよくても一部の人にリスクや負担を押しつけるような決定を多数決で決めてもよいのでしょうか。誰もが納得できる決め方とはどのようなものでしょうか。

このような問いに向き合うため、実験、社会調査、ゲーミングなど多彩な手法を用いた複眼的なアプローチをしています。また、市民参加による計画策定など、直接社会と繋がった実践研究も行っています。さらに、経済学、社会学、政治学などの社会科学はもちろん、情報学(AI研究)、工学、生態学など、幅広い分野の人たちと共同研究をしています。蛸壺の反対の極にある刺激的な研究をしたい方をお待ちしています。

研究活動

略歴

(株)三菱総合研究所、北海道大学文学部行動システム科学講座助手、富士常葉大学講師を経て2003年北海道大学大学院文学研究科助教授(2007年より准教授)、2018年4月同教授、現在、社会科学実験研究センター長

主要業績

  • Susumu Ohnuma, Miki Yokoyama and Shogo Mizutori (2022). Procedural Fairness and Expected Outcome Evaluations in the Public Acceptance of Sustainability Policymaking: A Case Study of Multiple Stepwise Participatory Programs to Develop an Environmental Master Plan for Sapporo, Japan. Sustainability 2022, 14(6), 3403
    DOI: https://doi.org/10.3390/su14063403
  • Ohnuma Susumu (2020). Consensus Building: Process Design Toward Finding a Shared Recognition of Common Goal Beyond Conflicts. Gary S. MetcalfKyoichi KijimaHiroshi Deguchi (Eds.) Handbook of Systems Sciences.
    Online ISBN: 978-981-13-0370-8
    DOI: https://doi.org/10.1007/978-981-13-0370-8_68-1
  • Momo Takada, Kosuke Shirai, Michio Murakami, Susumu Ohnuma, Jun Nakatani, Kazuo Yamada, Masahiro Osako, Tetsuo Yasutaka (2022.6.22). Important factors for public acceptance of the final disposal of contaminated soil and wastes resulting from the Fukushima Daiichi nuclear power station accident. PLoSONE 17(6):e0269702.
    DOI: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0269702

このほかの業績は「研究業績 | 北海道大学 環境社会心理学研究室 大沼ゼミ」を参照

所属学会

  • 日本心理学会
  • 日本社会心理学会
  • シュミレーション&ゲーミング学会
  • 環境情報科学会
  • 日本リスク学会
  • 廃棄物資源循環学会
  • 国際応用心理学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 行動科学概論
  • 社会心理学
  • 行動科学演習
  • 行動科学実験実習
  • 行動科学特殊演習

授業担当(文学院)

  • 行動科学特別演習
  • 集団力学特別演習
  • サイエンスリテラシー特別演習: 人文社会科学から見たデータ

授業担当(全学教育)

  • 社会現象とゲーム

おすすめの本

  • 『リスクガバナンスの社会心理学』(ナカニシヤ)