金子 沙永

プロフィール

金子 沙永 准教授 / KANEKO Sae
研究内容

ヒトがどのように世界を見ているのか、特に空間的・時間的な文脈を利用した視覚情報処理の仕組みに興味を持って研究を行なっています。主に心理物理学的手法を用いた実験的研究をしています。

研究分野
知覚心理学(とくに視覚、錯視)
キーワード
視覚、心理物理学、感覚・知覚、錯視
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/心理学分野/心理学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/心理学講座/心理学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/心理学研究室
連絡先

研究室: E棟404
Email: sakaneko*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
心理学研究室金子 沙永 准教授

対象と感覚と体験で構成される
「見え」の不思議を追いかけて

私たちが日常生活で享受している「見え」は、外界の刺激とそれを受け取る感覚、そこから私たちの意識に上ってくる「こう見えた」という主観的な体験の三点で成立します。「見え」にまつわる不思議は多種多様で、道路のタイル模様が動いているように見えたり、同じ対象物を見ているのに友達とは色の感じ方が違ったり、日常のそこかしこに「なぜ、こういうことが?」という疑問が潜んでいます。この誰もが当事者として身近に体験できるところが「見え」の不思議の面白さ。そこから自分なりの仮説を立て、実験で得たデータを解析した先には自分だけがたどり着く新たな発見が待っています。そこを目指して多角的な実験を行い、「見え」の構造を明らかにしようとしています。

心理物理学的な実験では、画面に出てくる様々な色や大きさの図形に対する細かな判断を記録し、主観的な見え方を測定する。
神経科学的なアプローチでは脳波測定の実験を行い、色ごとに異なる脳活動の強弱を調べた。

活発な議論や共同研究に期待
将来に活きてくる交流の歳月に

北海道大学の心理学研究室には視覚の研究をされている先生が多く、活発な議論や共同研究ができる理想的な環境です。学内にある「人間知×脳×AI研究教育センター」は脳と心に関する学際的な研究のプラットフォームであり、私自身、異分野の方々との連携を楽しみにしています。私の学生時代はたまたま指導教員とマンツーマンで教わる環境にあり、実験ノウハウや「まずは手を動かしてみる」という研究の基本姿勢など、独り立ちする時に必要なさまざまな経験を積ませてもらいました。その時の交流が今の自分を支えてくれていることを思うと、これから出会う皆さんにも将来そう思ってもらえるような、実りの多い日々を送っていきたいと考えています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

左の図には6つの円に囲まれた円が左右一つずつありますが、中心の円は左と右で大きさが違って見えるのではないでしょうか?しかし実際には左右の中心円の大きさは同じです。このように、現実と異なる見え方をする現象を錯視(さくし)と呼んでいます。錯視は見て楽しいだけでなく、我々ヒトがどのように物事を見ているのか、そのルールについて教えてくれます。例えばこのエビングハウス錯視は、我々が大きさを周囲との比較で見ていることを示しています。このように様々な錯視や知覚現象の特性を通じて、ヒトの「見る」がどのような仕組みで行われているのかを探るのが本研究室の研究活動の中心になります。

エビングハウス錯視自体は19世紀の心理学者エビングハウスの名前が冠されていることからも分かる通り非常に古くから知られた古典的錯視図形です。しかしつい数年前(2015年)、この錯視を動画にすると錯視効果が大幅に強くなるということが発見され話題になりました。つまり古くから知られた現象にもまだまだ知られていない一面があるのです。あなたもその秘密の発見者になれるかもしれません。視覚の不思議を探検してみたい方、研究室に歓迎します。