• 2009.12.28

北欧アイスランド文学の歩み

ー白夜と氷河の国の六世紀ー

著者名: 清水 誠
文学研究科教員:
<主要目次紹介>
アイスランド―歴史、言語、文学
サガ時代以降の文学と言語擁護―「リームル」から言語学者ラスクまで
ロマン派文学の開花―近代アイスランド文学の夜明け
ロマン派文学の展開―最初の黄金時代
自然主義文学の萌芽―コペンハーゲンからの出発
自然主義文学の興隆―無学の北アイスランド人作家たち
北米アイスランド文学の系譜―新世界への移民の波
自然主義と新ロマン派の間―短編小説の継承
新ロマン派の詩人たち―象徴詩と民衆詩
外国語で作品を書いた作家たち―ヨーロッパ文学の舞台へ
現代文学への革新―ハルドウル・ラハスネスと20世紀現代文学
両大戦間世代の作家たち―散文文学の隆盛
第二次世界大戦前後の叙情詩―現代詩への革新
第二次大戦前後の社会と文学―国際情勢の波及と社会批判
国語教育と児童文学―学校教育と言語規範の整備
アイスランド文学の風土―自然環境と社会生活
女性文学の系譜―苦難の創作から今日の躍進へ
新しい文学の波―現代文学の諸相

内容紹介

アイスランド語は千年前から文法構造がほとんど変化しておらず、「ヨーロッパ言語の奇跡」と称えられる言語で、サガと呼ばれる歴史叙事文学を中心に独創的で豊富な中世の文献を有しています。本書は文学作品から生の声を拾いながら、アイスランドの人々が言語文化遺産を精神的支柱として苦難の歴史を乗り越え、国際社会の一員となった過程をたどります。近現代の代表的作家を紹介し、詩の翻訳にはアイスランド語原典を添えました。

著者からのコメント

 アイスランド人は「世界で最も本を読む国民」として知られています。人口約32万人の小国ながら、アイスランドは1955年にノーベル文学賞を受賞したハルドウル・ラハスネス (Halldór Laxness 1902~1998) をはじめとして、おびただしい数の作家を輩出しています。日本の北欧文学の受容にはかなりの蓄積がありますが、中世以降のアイスランド文学と言語擁護の歴史をたどった著作は、本書が初めてだと思います。最近、アイスランドはテレビ番組でも取り上げられることが多くなりました。環境汚染がまったくなく、「女性にとって世界一住みやすい国」とも言われています。本書でも、「女性文学の系譜」、「アイスランド文学の風土―自然環境と社会生活―」といった章を設けてあります。
 なお、本書は通常の書店での入手がむずかしく、お求めのさいはインターネットで amazon をご利用いただくことになっています。本書が北極圏をかすめるこの絶海の孤島の言語文化について、理解の一助となれば幸いです。