• 2017.02.24

中国のマンガ<連環画>の世界

著者名: 武田 雅哉(著)
文学研究科教員:
<主要目次紹介>
1 絵とともに語られるはなしの系譜
2 連環図画の誕生―中華民国(一九一二~四九)
3 混乱から改良、そして隆盛―中華人民共和国建国初期(一九五〇~六〇年代前半)
4 闘争する“小人”たち―文化大革命時期(一九六六~七六)
5 いまひとたびのご奉公―文革終熄後(一九七〇年代末~一九八五)
6 大河からせせらぎへ―連環画の衰退(一九八六~二一世紀)
7 連環画のさまざまな“顔”―そして饒舌な“口”
8 日本の読者のための一章

内容紹介

中国の四千年の多彩な図像学の系譜を受け継いで、二〇世紀に誕生した中国のマンガ〈連環画〉。ときにコミカルで愉快、ときに苛酷で恐ろしい、近現代中国の政治・社会とをリアルに映しだす鏡としての連環画を紹介する、本邦初のこころみである。

著者からのコメント

中国にも、日本のマンガのようなものがありまして、これを連環画と申します。1頁に1枚の絵を入れたポケットサイズの絵物語で、二〇世紀の初頭に上海で誕生し、全国に広がりましたが、近ごろでは日本のマンガやアニメに押されて、姿を消しつつあるメディアです。中華民国時代には、夢見る子どもたちの心をわしづかみにして、荒唐無稽な世界にいざなう力があるものだから、教育界からは「荒唐無稽で淫乱な内容」と、しばしば悪書追放の対象となりました。また、社会主義中国の時代になると、新しい為政者は、その民衆に対する影響力の強さに目をつけ、プロパガンダの道具としてこれを駆使するようになり、こんどは良書の代表になってしまいました。内容も一変し、正義の共産党が大活躍する物語ばかりとあいなります。政治の風向きしだいで、右に左にと翻弄されていた連環画でしたが、内容はどうあれ、いつの時代も子どもたちの精神の糧であり、友だちでありつづけたようです。『三国志』や『紅楼夢』といった中国の古典から現代文学まで、まずは連環画に描き変えられたものを通して、民衆は物語を享受していたようです。本書は、そんな連環画についての、日本で初めての通史です。書き終えて、連環画というものは、中国と中国人を知るうえで、けっこう重要なキーワードではないかとの感を、ますます強めた次第です。