研究と社会貢献教員一覧

立澤 史郎

立澤 史郎 助教 / TATSUZAWA Shirow

所属専攻・所属講座
人間システム科学専攻 地域システム科学講座
研究分野
保全生態学、環境教育論、シベリア地域研究
研究内容
1. 野生動物(ニホンジカ、トナカイ、ヌートリア等)の生態研究。
2. 野生動物と地域社会との軋轢(獣害、外来種問題)軽減手法の開発と実践。
3. 地域住民が野生動物とのかかわり方を再構築するための市民調査の推進
WEB site
キーワード
野生動物、獣害、外来生物、軋轢、市民調査
連絡先
研究室: 202
TEL: 011-706-4161
FAX: 011-706-4161
E-mail: serow*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

Lab.Letters 研究室からのメッセージ

実学重視の伝統に見守られ
野生動物の生態を追う

 文学研究科・文学部の中で野生動物の生態を研究していると聞けば、大半の方が驚くことでしょう。ですが、生物多様性やいわゆる獣害問題は人間社会の問題であり、人文科学の研究者が関わるべき重要課題です。地域社会における野生動物の生態調査や釧路湿原のミンクに代表される外来種対策なども、単なる生物調査ではなく<生物多様性保全という社会問題>として掘り下げるべき研究対象だと認識しています。他大学の文学部では考えにくい我々のような保全生態学者の存在は、実学を重視し、研究の多様性・独立性を尊ぶという北大の伝統の証明とも言えるでしょう。

  • 立澤先生が20年近くフィールドとしてきた大隅諸島の無人島・馬毛島(まげしま)での調査遠景。トーチカ(第二次大戦中に日本軍が設営)から学生とともに、野生ジカの数と行動を追いかける。無人島での生態を調べることで、逆に人間との関わりによる変容が見えてくる。
  • ヤクーツク(サハ共和国)の小学生たちとの授業風景。中高校の教員経験があり、「自然教室」などを主宰していた立澤先生にとって、子供たちとの交流はフィールドの楽しみの一つ。研究成果の還元というだけでなく、逆に発想が新鮮な子供たちから刺激やアイデアをもらうこともしばしば。

自然、動物、そして「人」
社会のオプションを広げる

 我々が直接調査対象とするのは動物ですが、そこにはつねに「人」との関わりがあります。地域住民や行政などさまざまな「人」や「社会」とのかかわりを抜きに野生生物保全を語ることはできません。客観的なデータやコスト計算など必要な情報の提供を通じて、地域住民のオプションを広げることも、研究者の大事な役目であり、また人文社会科学の出番でもあります。地域社会が野生動物とのつきあい方を探るために、市民主体の実態調査(市民調査)をうながしたり、最近のエゾシカのように「食べる」機会を広めることにも尽力しています。地域社会とのつきあいは長期に渡りますが、それはそのまま自分が一人の人間として試され続ける歳月でもあります。辛抱強くつきあってくれる地域の人々に「一緒にやっててよかった」と思ってもらえる瞬間を、積み重ねていければと思います。
(聞き手・構成 佐藤優子)

<メッセージ>
 おそらく日本で唯一、文学部にある生態学研究室で、理系(野生動物の生態研究)と文系(地域社会調査や政策研究)が融合した教育・研究を進めています。文学部・文学研究科では助教は正式な指導教員になれませんが、調査や研究の現場で実質的な指導や相談相手をしています。
 フィールドは、世界遺産の島・屋久島、日本最大規模の無人島・馬毛島、奈良公園など(ニホンジカ)、釧路湿原(ミンク)、西日本(ヌートリア)、ニュージーランド(外来種対策、シカ類管理)、そして東シベリア(トナカイ、北方先住民族)と各地にわたりますが、研究テーマは一貫して「地域社会が主体となった野生動物の生態学的保全・管理」です。
 指導学生のテーマや調査地はケースバイケースですが、基本は本人の興味・関心・やる気次第。歴史(カモシカ食害問題史)や人間(動物園利用者)を対象にする人もいます。院生からは「人をやる気にさせるが、議論はしつこく評価は厳しい」とほめられ?ますが、他学部・他大学の方にも扉を開き、指導・アドバイス・共同研究をしていますので、御用があればいつでもメールをください。
 追記: 2010年夏、2年をかけて準備した衛星発信機をついにシベリアの野生トナカイに装着し、追跡が始まりました。部屋にいなければ、屋久島、シベリア、もしくは院生室でコーヒーを飲んでいるかもしれません。根気よく捜して捕まえ、うまく利用してください。

研究活動

略歴
大阪府生、神戸大農学部卒、大阪教育大院(教育学修士)、京大院(学術修士、理学博士)修了。学生時代からNGO(かもしかの会、奈良のシカ市民調査会等)を主宰し、高校教員等を経て2003年より北大教員。
主要業績
1. 『馬毛島、宝の島―豊かな自然、歴史と乱開発―』立澤史郎・共編(南方新社, 2010年)
2. 『環境倫理学』立澤史郎・分担執筆(東京大学出版会, 2009年)
3. 『Sika deer in Nara Park; unique human-wildlife relations』(in "Sika Deer-Biology and Management of Native and Introduced Populations")立澤史郎・分担共同執筆(Springer, 2009年)
4. 『政策提言型市民調査はなぜ失敗したか?-野生生物保全分野の経験から-』立澤史郎著(環境社会学研究 13:33-47、2007年)
所属学会
日本生態学会、日本哺乳類学会、日本環境教育学会、International Arctic Ungulates Society、The Society for Conservation Biology、The British Deer Society、ほか。
関連サイト
人文学カフェ「増える鹿、減るトナカイ」
(北海道大学オープンコースウェア)
人文学カフェ「増える鹿、減るトナカイ」iTunesプレビュー
北大研究者総覧
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教育活動

担当授業(文学部)
地域科学演習(基礎ゼミ)、野外調査法実習、地域システム科学概論、地域科学研究法(いずれも分担)。
担当授業(全学教育)
科学技術の世界(野生動物保全と人間社会
おすすめの本
『緑の世界史〈上・下〉』クライブ・ポンティング著,石弘之・京都大学環境史研究会訳(朝日新聞社・朝日選書)
古い訳書ですが、<人と自然(野生動物)のかかわり>の視点から世界史を読み解く絶好の入門書です。
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