研究と社会貢献教員一覧

佐藤 知己

佐藤 知己 教授 / SATO Tomomi

所属専攻・所属講座
言語文学専攻 言語情報学講座
研究分野
言語学、アイヌ語、北方言語
研究内容
アイヌ語を中心とする言語の記述的、文献的研究
WEB site
キーワード
アイヌ語、記述的研究、文献的研究
連絡先
E-mail: tomomis*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

Lab.Letters 研究室からのメッセージ

言語の不思議に魅せられて
アイヌ語研究、実地調査の旅

 言語は人間にとって最も身近な現象です。その身近さゆえに見落としがちな言語の不思議が私を魅了する大きな研究動機となっています。中でもアイヌ語を通して知る言語の精緻な構造は、研究の労苦を補ってあまりある感動を与えてくれます。特に、私の「先生」である話し手の方々のご協力により各地で実現した実地調査の旅は、言語研究の醍醐味を実感させてくれるものでした。
 北海道大学が有するアイヌ語関連の資料は、質量ともに世界トップレベル。アイヌ語の研究には有利な環境ですが、皆さんにはアイヌ語にこだわらず、言語の不思議に挑んでほしいと思います。

  • 実地調査の記録を収めた膨大な量の録音テープ。「時代とともに録音メディアも変わっていきました」と佐藤先生。
  • アイヌ語には名詞と動詞を合体して一語を作る「抱合」が見られる。写真は動詞の語形成を表した分類図
    「抱合」の例
     cep ku-koyki「魚を(cep)私が(ku-)獲る(koyki)」(二語)
     ku-cep-koyki「私が(ku-)魚を獲る(cep-koyki)」
     (一語、cep「魚」が koyki「獲る」に抱合された形)

恩師の大笑いが教えてくれた
研究者の品格

 私の学生時代、厳格で知られる指導教官が一度だけ声を上げて笑ったことがありました。それは先生の論文を了解もなしに流用した他人の論文をご本人が見つけた時のこと。「こんなにおかしいことはない」と一笑に付したその姿を見て、痛切に感じるものがありました。研究者として最も大切なことを教わったのです。以来、学生にも私自身にもつねに「自分のオリジナルな考えは何か」を問いかけ続けています。北大には北海道大学アイヌ・先住民研究センターもあり、この分野で皆さんの学びが広がる機会も増えていきます。ともに新しい知見を積み重ねていきましょう。
(聞き手・構成 佐藤優子)

<メッセージ>
 不世出の大言語学者 R. Jakobson はテレンティウスの格言をもじって「言語に関わることで自分に無縁のものは何一つない」と豪語した(らしい)が、これはある意味正しい。言語は多様な側面を持つ複雑な対象であるからどこから研究してもよい。言語学は間口の広い学問である。ただ、言語に関する有意義な研究を行うためには、自己流ではいけない。言語学的な、正しい研究方法を学ぶ必要がある。勿論、大学院では、各自のやりたい研究が最大限尊重される(「無縁のものはない!」)。と同時に、言語学の方法論がしっかり叩き込まれることになるだろう。言語を学問的に研究してみたい方の参加を切にお待ちする。

研究活動

略歴
北海道札幌南高等学校卒、北海道大学文学部卒、同大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学(言語学専攻)、修士(文学)、北海道教育大学教育学部(岩見沢校)助教授を経て現職
主要業績
『情報科学と言語研究』(現代図書)、2016
『アイヌ語文法の基礎』佐藤知己著(大学書林)、2008
「抱合」からみた北方の諸言語」、宮岡伯人編『北の言語』(三省堂)、1992、191-201
「アイヌ語研究の課題と展望」、煎本孝・山岸俊男編『現代文化人類学の課題』(世界思想社)、2007、186-202
「アイヌ語のアスペクトと日本語のアスペクトの対照」、『日本語学』26-3(明治書院)、2007、44-52
「アイヌ語千歳方言における合成名詞の構造」、『北方人文研究』1(北海道大学)、2008、55-67
所属学会
日本言語学会
関連サイト
北大研究者総覧
researchmap

教育活動

担当授業(大学院)
言語情報学特殊講義、言語学特殊演習、日本語科学特殊演習
担当授業(文学部)
言語学概論、言語学、言語学演習、アイヌ語
担当授業(全学教育)
思索と言語
おすすめの本
E. サピア『言語』(訳書は紀伊国屋書店、岩波書店から出ている)。一般人にも読みやすく、しかもいつまでも古びない広さと深さを持つ言語に関する本はこれにとどめを刺す。
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